シブヤ大学

シブヤ大学は、
“見つける学び場”です。

シブヤ大学は、まちのあらゆる場所を教室に、多様な授業を開催しているNPO法人です。
2006年の開校以来、開催した授業は1,600講座以上。これまでに45,000人以上が参加しています。

シブヤ大学とは

最新授業レポート

終了した授業の内容をお伝えします

「今夜は、無礼講。2025」~お座敷あそびは奥が深い!

渋谷駅から道玄坂を登っていくと、そこは円山町です。地図アプリの案内に従っていくとラブホテル街に紛れ込み、とまどっていると目の前に目指す「料亭三長」がありました。昔ながらの旅館の建物のような佇まい、昭和レトロな建物です。玄関引き戸を開けると、立派な玄関があり、出迎えを受けます。廊下を行くと、右に趣のある石燈籠と池がある中庭があり思わず見入ります。会場は2階の大広間なので階段を登りますが、これが昔ながらの少し急こう配の階段。受付をすますと、今日の会場、大広間に通されます。席に座ると、仲居さんがすぐにやってきて「お飲み物はいかがしますか?」と注文を取ってくれます。初めてお会いする生徒さんともまずは乾杯。いつもはノンアルコールのシブヤ大の授業とは違って、授業が始まる前からみなさんリラックスムードです。畳の上にテーブルとイスなので、「お座敷だから畳の上にじかに座るのはきついなあと思っていた私は一安心です。いよいよ授業が始まります。まず、料亭三長の髙橋社長から「円山町の歴史と料亭三長」についてのミニ講座がありました。料亭三長の場所は、明治末期に建てられた芝居小屋がはじまりだそうです。現在の料亭の建物は戦後1951年に竣工したものです。その後、髙橋社長の代になり、円山町の料亭を何とか残したいという想いから工夫を重ね、改装工事を行い、一部をテナントに貸し出すことで料亭としての建物と風情を残すことができました。円山町の花街の最盛期は昭和30年代。円山町には70軒をこえる料亭があり、200名もの芸者さんがいたと言われています。それが、現在では、料亭が1軒、芸者を呼べる割烹料理店2軒、芸者が3人となってしまいました。会社員だった髙橋社長は女将をしていたお母さまが亡くなり料亭を引き継ぐことになりました。女将のお仕事は、仕出し屋から料理を取り、酒屋から酒を仕入れ、土産や車の手配も行うコンシェルジュのような役割を果たしていたそうです。周辺で再開発が進む中、これからも、円山町に唯一残る料亭を100年保存し活かすために、今年3カ月かけて基礎工事を行うそうです。渋谷の花街の名残りの料亭を保存していきたいという髙橋社長の実践を通じた様々な取り組み、情熱に感銘しました。また、道玄坂には昭和44年に廃止された路面電車の玉電が通っていたというお話には興味が湧きました。変わりゆく渋谷の街ですが、街の歴史をもっと学びたいと思いました。そしていよいよ芸者さんの登場です。小糸さんの唄と三味線、三吉さん、鈴子さんの小鼓でスタートです。小糸さんは御年96歳の現役の芸者さん。その三味線の音と小唄は一音一音が力強くしっかりしているだけでなく、温かくやさしい。そこに鈴子さん、三吉さんの小鼓のアクセントと、絶妙の合いの手が入ります。これまで小唄であるとか三味線の音色がこんなに心に響くものだとは思いませんでした。日本の古典芸能の良さをわかった気がしました。続いて舞は三吉さん、「八重一重」鈴子さん、「春霞み」「夜桜」鈴子さん、三吉さんの二人で、「木遣りくずし」でした。二人の日本舞踊の所作の美しさ、扇のさばきにひきつけられました。三人の芸者さんが各テーブルに分かれて座り、生徒さんと話をしてくれました。芸者さんの仕事、生活、花街のこといろいろな話を聞くことができました。小糸さんが「東京音頭」を三味線で弾いてくれると、みなが一緒に歌って大盛り上がりになりました。また、鈴子さんと三吉さんによる即席小鼓ワークショップ。小鼓の持ち方や叩き方を教えていただきました。自分でも和楽器を習ってみたいなあと思いました。さて、お待ちかねのお座敷あそびは「お開きさん」芸者さんと生徒さんが向き合ってじゃんけんをします。負けた方が足を少し開かねばなりません。負け続けると足が開きすぎて倒れてしまうというお座敷あそびです。三吉さんが負け続けて足を開きすぎになり倒れてしまい、大いに盛り上がりました。 帰りがけに、改装工事をしたときに設えた露地を見学しました。橙色系の照明に彩られた京風の趣のあるアプローチでした。皆さんも一度見学してみてください。風情のある建物で楽しむ料理と酒、芸者さんの音舞、お座敷芸と日本文化の素晴らしさを知り、味わいつくした楽しい夜となりました。(レポート:江藤俊哉、写真:大谷蓮壽)

「見つける学び場」を一緒につくろう! 〜"問い"であそぶワークショップ〜

渋谷のまちをキャンパスに、誰もが気軽に参加できる学びの場を運営してきたシブヤ大学は、来年で20周年を迎えます。私たちは時代とともに学びの場のかたちを変えながら、「いま自分たちがほしい場」をつくる活動を続けてきました。4月、新学期!ということで、そんな場を一緒に作る仲間を募集するイベント、『「見つける学び場」を一緒につくろう!〜"問い"であそぶワークショップ〜』を開催しました!シブヤ大学では、「”今自分が受けたい授業”をつくること」を大切に、ボラスタが中心となって授業を企画しています。その多くは、ボラスタ同士の会話の中から生まれる小さな「問い」から授業になっていくものも少なくありません。当日は、そんな「授業になるもっと前の段階」の、日常で感じる小さな「問い」を、皆さんと一緒に楽しむ時間となりました。ワークでは、以下の「問い」が生まれました。「ノンアルなしでも作れるサードプレイスの作り方とは?」「自分らしく生きたいと思うのはなぜ?」「なぜ結婚するのか?」「人はなぜ働くのか?」「いま私に必要な筋肉とは?」「外国で働くのってどういう感じ?」グループごとに問いを発表すると、「おお〜」と歓声が上がるシーンも。世代を超えて、時間ギリギリまで大盛り上がりでした!話し足りない〜!この中からも、新たな授業がたくさん生まれそうです。(写真:鈴木夏奈、小林大祐)

あなたの「気になる」を考現学的に体験してみよう!

春の訪れを感じる3月15日土曜日、幡ヶ谷社会教育館に続々と参加者が集まってきます。本日は楽しい街歩き!ですが、皆さん心なしか少しばかり緊張したご様子。それもそのはず、実は「考現学」というあまり聞き慣れない学問について調査、発表する街歩きなのです。教室に入ると椅子だけがランダムに並べられていて、期待と不安を胸に授業開始を待ちます。全員揃ったところで、まずは本日の4名の先生がニックネームで自己紹介。次に参加者の自己紹介でもニックネームで呼び合うことで、一気に和気あいあいムードに。次に先生が考現学という馴染みのない学問について、スライドを使いながらわかりやすく説明していきます。考古学との比較、考現学の歴史や、これから始まる屋外での考現学的観察のポイント等の説明について皆さんとても興味津々。説明が終わり熱量も高まってきたところで、近くにいた参加者同士で3~4人のグループを組み、そこに先生が1名つきます。計4グループが結成されたところで間髪いれずに颯爽と街へと飛び出していくスピード感!はたしてこれからどんな街歩きになるのでしょうか!? 本日の調査場所は、幡ヶ谷社会教育館に隣接する、六号通り商店街と六号坂通り商店街の2つの通り。大通りを挟んで南北に延びるこの2つの通りを2グループずつ分かれて、約30分間調査していきます。まず、大通りから南に延びる六号通り商店街のあい先生のグループでは、商店街を歩きながら観察する参加者もいれば、立ち止まって熱心に定点観測する参加者も。村田先生のグループでは、参加者の方がそれぞれ興味のあるものを早々に見つけて、それぞれが自由に商店街を歩いていくスタイル。参加者の皆さんは熱心にメモを取ったり写真に収めたりしています。まさに、調査のやり方や着目点も十人十色、といった様子です。 続いて六号坂通り商店街。こちらはその名の通り、大通りから北に向かって緩やかな下り坂が続いています。ケーシー先生のグループでは、商店街の入口の時点ですでに盛り上がりを見せている様子。先生の考現学的ポイントを聞きつつ、それぞれが興味のあるものを観察。とてもまとまりのあるグループという印象です。じゅん先生のグループでは、グループ内に近所にお住いの方がいて、これぞ街歩きの面白さ!というものを実感します。途中でケーシー先生のグループと遭遇し、お互いにどんな視点で調査しているのだろうと気になりつつ通過。そしてなにやらアパートの壁のガスメーターをじっと見つめているじゅん先生。先生も参加者の皆さんも無我夢中で調査して、気づけばあっという間の30分!皆さん足早に幡ヶ谷社会教育館へと向かいます。 休憩を挟んで教室に戻ると、すでに大きな机がグループごとに並んでいて、「わたしの発見シート」というA4の紙が置いてあります。これからの15分間は、この紙に観察して気づいたことを自由に書き込む時間。参加者の皆さん、最初は少し苦労しているのか静まり返った様子でしたが、記憶を辿りながら段々とペンを走らせる音が聞こえてきます。メモやスマホに収めた写真を見返しながら、熱心に書き込んでいる様子。 アウトプットの時間もあっという間に終わり、次はそれぞれの参加者が席を立って他の参加者が書いた発見シートを見て回り、気づいたことを付箋に書いて発見シートの近くに貼っていきます。文字だけでまとめている人、マインドマップのように言葉を繋げている人、スケッチのみの人と、表現方法やまとめ方は様々。豊かな表現方法や自分とは全く違う着眼点を見て、どよめきや感心の声があちらこちらで沸き起こっています。まず六号通り商店街のグループでは、建物と建物との隙間に着目した参加者や、傘を持っている人の数、停めてある自転車の数と種類や犬を連れている人と犬種を数えた人も(なんと犬種は全て異なるという結果に…!)。また、和服率の高さを調べた人がいましたが、近くに和服関連の施設があるのかも気になります。また六号坂通り商店街は、建物の素材や色に着目する人、ハチペイなど電子決済に注目し、その表示に注目する人、そしてなんと虫の視点で地面のタイル模様に着目する人も。また建物も面白く、2階建ての建物の1階には柔らかいフォントのお店で、2階には事務所が多いのか明朝体等のかっちりとした印象のフォントなど、看板のフォントに着目した人や、お店のダクトの形状の違いをスケッチだけで表現していた人も。たとえスケッチだけでも、言わんとしていることがなんとなく伝わってくるという面白さがあります。 付箋をつけながらこれは是非皆さんの考えを聞きたいという欲求が最高潮に達したところで、ついに発表タイムへ突入!4グループ1人ずつ発表していきます。まず同じ風景を見ているにもかかわらず、誰一人として同じ視点ではないという驚きと、そもそも他者の視点を知ることができて、それぞれの人となりがわかるという面白さ。発見シートに書かれてあるスケッチや言葉ではわからなかった部分も、発表を聞くことで腑に落ちる部分もありました。また、他の参加者の発見シートを見て自分とは違う視点で面白いという感想や、自分も違う表現方法にすればよかったという意見も。ちなみに、アパートの壁のガスメーターをじっと見つめていたじゅん先生、二つ並んだガスメーターの表示形式がアナログ式とデジタル式という違う表現方法で面白い、という種明かしをしてくれました。 今回の考現学という視点での街歩きを通して、考現学という学問が日常的でとても身近なところにあるものだと気づきました。六号通り商店街と六号坂商店街で街の特性があることもわかり、街の細やかな部分を知ることで、街全体の魅力の再発見にも繋がっていくとも感じました。また、観察している人自身を観察することによっても新たな発見があり、街の風景、その場所での人の生活、それを観察する人、その全ての振る舞いを俯瞰して見ることで、考現学がさらに魅力のあるものになったのではないかと思います。 (授業レポート・写真:諌山俊之、グループレポート・写真:久保田真理、隅谷宗男、諌山俊之、竹田憲一)

コラボレーション

企業・自治体などとのコラボレーション事例

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興味のある授業を受けてみたり、ボランティアスタッフとして学ぶ場をつくったり、関わり方は人それぞれ。
あなたの参加をお待ちしています!